新型コロナによる非常事態宣言は、フィットネス施設の経営に大きなダメージを与え続けています。記事を執筆している2月中旬時点では感染者もグッと減り、そろそろ闇を抜けそうな感じではあります。
そんな今、各社ともにクラブから去ってしまった会員数をいかに取り戻すことができるのか検討を重ねているかと思います。
今年に入り先陣を切って施設・プログラム・料金などを、大幅にリニューアルするクラブも目につくようになってきました。
もうコロナ前には戻らない!あらゆる媒体でこの言葉を見聞きします。
であれば、アフターコロナ時代に向けてリニューアルを検討していくのは当然ですが、結構な確率で社内に敵がいるケースが見られます。
今号では、リニューアルのポイントを更に深く考えるとともに、社内の敵に対する対応も考えていきます。
24時間ジム
当社では今年に入り多数の24時間ジム開業希望者が殺到しています。
法人だけでなく、個人の独立開業希望も相当数いらっしゃいます。
希望者にとっては、飲食店などの退店が増えてきていますので、良い立地の物件がリーズナブルに契約できる今を勝機と考えています。
希望者に対しては、「成功するための24時間ジムの条件」をレクチャーさせていただき、内容に賛同いただいた方のみをコンサルティング契約をさせていただきますが、約8割はお断りすることとなります。
お断りするケースをまとめると
・50−70坪と規模が小さい
・中国製コピー商品を導入しようと考えている
・駐車場バランスが悪い
・指導サービスに対する認識の違い
おおよそこのパターンに当てはまります。
私のプロデュースする24時間フィットネスジムは、規模的にはファンクショナルスタジオ・ヴァーチャルスタジオを完備した140坪−200坪が基本で、立地は広域から集客できる郊外ロードサイドが中心です。基本的な指導アービスや参加型プログラムがあり、他店との差別化を図ります。ちょうどフィットネスクラブと24時間ジムの間といった感じでしょうか。
このプランでないと、近々飽和状態になる市場で生き残ることは難しく、また5年後10年後に流行り商品が出た時に、スタジオという絶対的なスペースが生き残るポイントになると考えています。
既存24時間ジムからの経営改善相談も多くありますが、規模が小さなクラブでは目的達成型クラブへのリニューアルを推奨。ある程度規模のあるクラブでは施設・サービスの見直しをしていきます。
<目的達成型クラブ>
規模が小さいのにオールターゲットは狙えません。特にフリーウエイトを好む若い男性を囲い込むことは難しい。男女比は8:2で男性が圧倒的に多いのですから、男性を捨てて女性専用クラブをしてプランニングすることで、競合とバッティングすることなく企画をすることができます。女性専用の24時間ジムといっても、ガチ系の方はフリーウエイト充実型のクラブを選びますので、対象は初心者となります。初心者を取り込むには「美尻専門」などPR効果の高いキーワードを前面に出したプランニングが大切です。
そして何より指導サービスが必要となるので、今までの放置型とは180度違うクラブとなります。指導サービスは統一されたワンオペレーションが理想です。トレーナーも覚えることも少なくクオリティを保つことができます。
このタイプのリニューアルは、ある程度の規模のパーソナルジムなどでも採用可能で、セールスが下手で高額商品が売れずに悩んでいるジムには路線変更をお勧めしています。
勤務しているトレーナーは知識やプライドがある方が多いので、売り上げも上げられないのに抵抗は相当なものです。親会社がフィットネスと関係のない会社の場合、モンスタークレーマーと化したトレーナー陣との合意ができず、リニューアルを断念するケースもあります。
<規模に余裕がある24時間ジム>
駐車場台数にも左右されますが、会費とアイテムの見直しをお勧めしています。会費であれば地域の所得水準にも影響されますので、東京と同じ会費で全国展開するクラブは地方では割高感があります。所得係数を反映させることで地域に適した金額となり、競争力をアップできます。アイテム変更としてはヴァーチャルスタジオ、ファンクショナルスタジオを増設し、各種指導サービスを追加していきます。(ベンチマークはオランダBASIC FIT)
当然、実施内容のPRとしてSNSを上手に使っていきます。このSNSですが、経営苦しいジムでSNSが上手だった試しがありません。上手下手以前に投稿数が圧倒的に少ない。
それでも、放置型24時間ジムはリニューアルをする場合、有人スタジオレッスンを提供しているジムを除き、モンスタークレーマー化するスタッフは皆無なのでリニューアルはスムーズです。
総合フィットネスクラブ
総合フィットネスクラブを運営する企業からの相談も増えています。
全号の記事でも書きましたが、「プールどうする?」ということです。
全てのクラブにプールを潰せといっているわけでなく、初期型総合クラブの多くがジムとスタジオが貧弱なケースが多いからです。30−40坪のスタジオ1つ。そんなクラブも多いでしょう。コロナ禍においてソーシャルディスタンスが大切な今、スタジオ定員が大きく削られて会員の不満を買っていることでしょう。
総合クラブの場合、たとえ一つのエリアがパンクしても集客に影響します。それが最も利用が多いスタジオとなれば深刻です。ソーシャルディスタンスを考え、より大きなスタジオが必要ということになります。では、そのスペースが確保できればいいのですが、確保できないのであれば、どこかのエリアを犠牲にするしかないことになります。トレーニングジムも同様です。初期型クラブの多くがランニングマシンなどのカーディオは充実しているが、それ以外はウエイトマシンが一揃い。そんなクラブが多いはずです。本当なら、中高年用にストレッチマシンを導入したい、ファンクショナル器具も導入したい、24時間ジムに負けないフリーウエイトも導入したいことでしょう。でもスタジオ同様に絶対的なスペースがないのです。そうなると、利用が少なく経費も大きいプール空間を考え直す必要があるでしょう。これくらいの大鉈を振るわなければ、アフターコロナ時代を増え続ける競合施設に勝ってはいけません。
ここでリニューアルを進めるのに1番の難関となるのが、総合クラブでは必ずぶち当たるモンスタークレーマーと化したスタッフの対応です。
変化を嫌うスタッフ
総合クラブのスタッフと会議をすると危機感が感じられません。
会員集客は会社側の仕事で、自分たちは入会した人への指導はちゃんと対応している。
リニューアルすることで、昔からの会員さまを裏切ることになる。
などなど。。。自分たちを正当化する言葉が湯水の如くでてきます。
これは会社側の教育の問題でもありますが、私の対応するクラブの大半が、本業が別業態で「フィットネスのことは分からないから!」と、運営権を現場に握らせているクラブです。
長年に渡り常連と癒着し、言いなりのプログラム構成を提供することで、新規入会者が馴染めない環境となり会員が減っていたとしても、会員減は新型コロナの影響と言い訳ができてしまう。ちょっとした帝国が出来てしまっています。
リニューアルとは、自分たちの存在が脅かされ、ストレスを背負うことになりますから、理由を色々見つけては嫌がるのです。
スタッフ達は、実は一枚岩に見えてもそうではありません。
こんな経験はありませんか?スタジオプログラムなどを大幅に変更すると、署名を集めクレームを言ってくる会員集団がいると思います。スタッフは「全員辞めてしまいます!」と慌てますが、トラブルの元となる人物を退会処分にすると自然と鎮火して、何事もなかったようにクラブライフを送っている・・・
スタッフも同じように、扇動する中心人物を封じ込められれば、残りのスタッフは自由に意見を言い、討論して納得いただくことができます。
本当にリニューアルする場合、一番苦労するポイントなのです。
まとめ
まさに大転換機を迎えたフィットネス業界ですが、いまだにワクチン摂取始まれば会員が戻ってくるだろうと考えているクラブが多すぎます。
現在までで再入会いただけなかった会員は、多分永久に戻ってこないと思った方がいいです。
競合が増え、集客方法に関してもひと昔とは違います。
上級者は24時間ジムと取り合い、新規入会者は今までの総合クラブのアプローチでは反応しません。
戦う準備期間はもう終わります。一刻も早く対抗策を取り組んでアフターコロナ時代を盛り上げてください。
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