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総合フィットネスクラブが低迷を脱却する運営改革とは




総合クラブは過去の遺物となってしまうのか?

数年前からの24時間ジム出店ラッシュも一段落したと思いきや、最近はマシンピラティススタジオ出店ラッシュ。その他もブティック型と呼ばれる小型スタジオの出店が目立ってきました。どれもアメリカで流行っている。いよいよ日本上陸!そんな触れ込みが多いですよね。なぜ日本から世界に発信するようなヒットプログラムが生まれないのでしょうか?

今号の特集がミドルアップダウン。聞きなれない横文字で難しく感じてしまいますが、総合クラブが低迷から抜け出し、圧倒的な輝きを取り戻すには、コンセプトを理解し行動する必要があるでしょう。特集に沿って、私なりの考えをまとめていきます。

 

考えることを止めるな

マシンピラティススタジオを例に考えます。増え続けるマシンピラティススタジオ。狭い空間にズラリと並んだリフォーマーで同じレッスンを受講する。お洒落なイメージもあり女性会員で賑わっているイメージがありますが、数年後には何%が生き残ると思いますか?ピラティスは100年の歴史がありエクササイズ的には廃れることはないでしょうが、現在の運営スタイルでのマシンピラティススタジオは、ほぼ絶滅すると私は考えます。

その理由を説明します。

オーナーの出店理由に熱意は感じない。

・店舗規模も小さく、シャワー設備もいらないので出店コストが少なくて済む。

・スタッフの確保もヨガ経験者は巷に多いので、募集で容易に集まるだろう。

このような安易な考えで出店するオーナーが実際多いのです。

当然、オーナー自身にピラティス歴などはなく、エクササイズの本質も理解できていないケースが多い。

これがFCともなれば、運営に対するこだわりも無くなり、スタッフも決められたレッスンをこなすだけ。オリジナルの考えは排除される環境となります。スタッフの働く意欲はすぐに萎え他店へと転職を繰り返していくことでしょう。

会員側も、スタッフの動きを真似する一体感のあるヨガと違い、マシンピラティスは「気づきのエクササイズ」です。エクササイズを積み重ねて、体の変化や進歩を感じていく。スタッフは動きを修正し正しい動きに導く。決して派手で楽しいエクササイズではなく、目的が明確でなければ飽きやすい。なので、スタッフの目が届く範囲の少人数でなければ良さを実感できません。ヨガ同様に効率を考え台数を増やした運営では、最初は集客できるかもしれませんが、すぐに会員は去っていくことは容易に想像できます。

けれど、このようなヒットアイテムが出てくると、総合クラブの経営陣からは、「マシンピラティスが流行っているから取り組みを考えてみなさい。」と指示が出てきます。ビジネスモデルを見れば問題点も見えてきますし、成功するには難易度が高いこともわかるはずですが、ミドル・アップダウン・マネジメントが機能していないと、結局は上部だけ真似てしまい成功には至らない。そんなケースが今後沢山出てきそうです。総合フィットネスクラブは過去に同様の失敗を何度も繰り返してきました。いくつか思い出してみましょう。

総合クラブの過去の失敗

<小型サーキットジム>カーブスが誕生した初期は、総合クラブの経営陣もスタッフも「あんな店が流行るわけがない!」と話していました。しかし、カーブスの店舗が増え、会員集客も好調と聞くと、クラブ内に油圧マシンを揃えたサーキットジムを導入するクラブが多数出現しました。今は?存在しませんよね。経営陣は油圧マシンを円形に配置すれば高齢者が集まると思ったのでしょうか?現場はきっと取り組む前から分かっていたはずです。それでは成功しないことを。

<バイクエクササイズ>総合クラブで導入されたが、集客できずに1年程度で消え去ったバイクエクササイズ。暗闇バイクエクササイズのフィールサイクルがヒットすると、倉庫に眠っていたバイクを引っ張り出し、暗闇バイクスタジオを真似て再開。専門店のような独自プログラムを構築するのではなく、プログラムは3ヶ月に一度改定されるプレコリオで対応。無人のバーチャルバイクでも成功するとチャレンジしたクラブもありましたが、バリエーションに欠けるため会員には飽きられ参加人数激減。再びバイクは倉庫行きに。

<トランポリンエクササイズ>ジャンプワンがTVで取り上げられると、次は暗闇トランポリンだと飛びつく。プログラムは安定のプレコリオ頼み。トランポリンプログラム自体は昔から存在している。なぜ今までヒットしなかったのか?その理由も考えずブームに乗ろうとしたが、結果バイク同様にトランポリンは倉庫行きに。

<ホットヨガ>LAVAが店舗をどんどん展開し、若い女性の集客を獲得すると、サブスタジオやジムの一部を改装してホットヨガスタジオを導入するクラブが続出。プレコリオはホットヨガ非対応のため、外部インストラクターや社員オリジナルプログラムで対応。専門店と内容は遜色ないものの、専門店のようなイメージ戦略が不十分でクオリティが低く見えてしまう。結果的に望む集客増が得られない。類似で1年くらいは話題になったハンモックヨガなどがありますが結果はご承知の通り。

<ファンクショナル>TRXやViperなど神コンテンツが存在しますが、トレーナーレベルが足りずヒットせずに燻り続けています。

それなのに、次は懲りずに流行っているマシンピラティスに向かうのでしょうか?

マルチに活躍できるスタッフが重宝される総合クラブでは、スタジオレッスンもこなし、ジム指導やパーソナルもこなし、更にはスイミングスクール指導まで。そのような環境下で、本物を追求できる余力はスタッフには残されていません。

なぜ、総合クラブは全てが中途半端になってしまったのでしょうか。

 

プレコリオ頼みからの脱却

昔々、フィットネスクラブの組織は、ジム部門、スタジオ部門、プール部門に分かれており、スタジオ部門を例にとれば、担当プログラムの構成はインストラクターが各自で考え、音楽も自分のセンスで選ぶのが普通でした。それぞれ個性があり、受講する会員も楽しかったと思います。

それが、バブル崩壊、リーマンショックなど様々な経済的影響で人件費の削減が行われ、専門職からマルチにこなせるスタッフが求められるようになり、現在の各プレコリオメーカー提供のエクササイズプログラムが中心の運営になりました。世界で販売されるプログラムなので内容は間違いないものですが、悩み、考え、生み出すプロセスが省かれるため、プレコリオ以外の新しい何かに取り組む能力が落ちてきたと思います。それが顕著にわかるのが、プレコリオがあるスタジオと無いプールの差です。

以前の人気プールプログラムであったアクアビクスは、スタジオに負けず劣らずの参加人数を誇っていました。でも今は見る影もありません。総合クラブ最大の武器であるプールを全く活かせていない状態が続いています。

 

ミドル・アップダウン・マネジメントを機能させるには

日々の業務で余裕がない現場スタッフ。あれもこれもと増えていく業務。これでは新たな企画も面倒が増えたとネガティブになるだけです。

形だけ真似て、集客できなくても無関心となるのは当然です。

まずは、今あるサービスの断捨離を徹底的に行い、物事に取り組む余裕を作ることです。

例えば、ジム指導を考えましょう。チョコザップは無人運営でスタッフと会うことはありません。24時間ジムもスタッフは手続きと挨拶程度です。それでも会員を集め運営できているのです。総合クラブでは営業時間内トレーナーが常駐し、指導が受けられるが基本となっています。これを、トレーナー巡回時間を決める。初心者指導などを予約制にするなど対策をすることで、無人ジム・24時間ジムよりはサービスは上回れます。そして空いた時間は新プロジェクトの開発や勉強に充てられるわけです。自分たちが「確実に勝てる!」と思える内容が出来上がり、それをPRする手段を考え、集客成功体験を得る!これを1度でも成功させることができれば、総合クラブの運営改革は進んでいくでしょう。

もう小手先の改革で迷走するのは終わりにしましょう。

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